idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

「気づきを与えるのが教育だ!」

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アリが小石を運んでいた。トレーニングだろうか(撮影・マツミナ)

 人気アニメ「呪術廻戦」にはまりつつあります(まだちょっとしか見ていないけれど)。中でも、主人公が学ぶ「東京都立呪術高等専門学校」の先生たちが魅力的で、セリフもかっこいい。たとえば、2回目では「気づきを与えるのが教育だ!」と言い切っていた専門学校の校長にしびれました。

 

 それに比べて現実はなんだか…。12月29日付読売新聞によると、10都道府県の教育委員会がわいせつ事件などで免職された教員名を官報に載せていなかったそうです。官報は「官報情報検索ツール」に取り込まれ、教育委員会が処分歴を知らずに採用してしまうのを防いでいるようです。逆に言えば、こうしたシステムが働かなければ、東京で問題を起こした教員が、神奈川で再び教壇に立てるわけです。教育委員会も先生たちの組織、結局は先生同士でかばい合っているのかと疑いたくなります。

 

 これから教壇に立つ未来の人たちに期待したいところですが、養成する場としての大学にも問題ありです。

 先日、教員の採用率が高い某国立教育大学のオンライン授業に参加しました。先生が問題を出して、少人数グループで話し合いをする「双方向授業」でした。80人ほどの学生が参加していて、大半がビデオオフ、ミュート(消音)。グループワークでは話すらできない状態でした。この人数では、先生1人では見きれません。先生によると、春学期は400人以上も履修していたそうです。

 授業の質を保つのは、大学の責任です。助手を配置し、履修者数を調整することも必要でしょう。現場に丸投げでは、大学の見識を疑います。

 一方の学生たちも問題を抱えています。1週間にとる授業コマ数が「15~17コマ」と言う学生が目につきました。1日平均3、4コマも授業があったら、授業外で学ぶ時間もエネルギーもなくなります。さらに問題なのは、提出した課題やテストに対する先生のフィードバックが「ほとんどない」ことです。「点数がわかればいい方」で、課題もテストもまず返ってこないそうです。学習意欲を持ち続けるのが厳しい状態が作られています。

 国立大学はどこも財政難で、助手を配置できないのは仕方ない。教職免許を取ろうとすればコマ数が増えるのは当然で、本学だけの問題ではない。授業は現場に丸投げでも、免許を取れればいいじゃん――。ひょっとしてこの大学は、学生たちにそんな「気づきを与える」場をめざしているのでしょうか。(マツミナ)